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2009年9月 – 化学史学会

月別: 2009年9月

2009年度総会報告

以下、会誌第36巻第3号(2009) 177-179頁に掲載された報告の抜粋です。 続きを読む »

サイエンス・カフェ「科学史サロン」のお知らせ

私たちが現在普通に使っている理論や材料は突然に世の中に現れた訳ではありません。そこには先人達が少しづつ作り上げていった「けものみち」があります。今回の科学史サロンでは先人達が何を考えていたか想像しながら、のんびりとした時間を過ごしたいと思っています。

日 時:開催予定日の17:00~19:00

場 所:東京工業大学大岡山キャンパス 南8号館 623号室
    http://www.titech.ac.jp/about/campus/index.html

主 催:東京工業大学 国際高分子基礎研究センター 続きを読む »

『化学史研究』第36巻第3号(2009.9)

会誌『化学史研究』第36巻第3号(通巻第128号)が発行されました(2009.9.15発行、全60頁)。 続きを読む »

【化学者の肖像2】エミール・フィッシャー(1852-1919)

Emil Hermann Fischer, 1852-1919
Emil Fischer E.フィッシャーは「生物化学の父」としばしば呼ばれるが,これは彼が生物化学分野で重要な三種類の物質,プリン類,糖類,蛋白質について広範囲な研究を行ったからである。フィッシャーの最も重要な研究成果と言えば,糖類の立体構造を確立し,ファント・ホッフとル・ベルが独立に主張していた不整炭素原子理論の強力な実証データを出しことである。かつホルムアルデヒドとグリセリンからグルコース,フラクトース,マンノースなどの糖類を合成しこれらが光学異性体の一種であるエピマーであることを明確にした。糖類の形態学と系統学を完成させたのは1894年である。

フィッシャーの4番目の研究テーマは彼が憩いの場とした森の地衣類である。その新しい挑戦,蘚苔類の成分やタンニンの研究に取り組んだのは,1908年,56歳の頃である。生涯,現役化学者であったフィッシャーだが,多病だった。少年時代からの胃カタルは持病だった。酸化水銀と脂肪族ヒドラジンとの反応で水銀中毒を起こしたり(1881),糖類の研究に用いたフェニルヒドラジンの為に神経と皮膚を害していたので,終生これらの害から逃れることはできなかった。エルランゲン大学時代の最後の年,1887年頃には一年間,研究から遠ざかったのは,癌の兆候が既にでていたのではないかと推察されている。さらに,悲惨だったのは第一次世界大戦中に次男と三男を失くしたことであろう。1919年の夏にも67歳の老躯に鞭打って実験室で働いたが,7月15日病魔に倒された。

写真は北海道大学理学部の廊下で化学の進捗を眺め続けた実験中のフィッシャーである。

(山岡望『化學史傳』内田老鶴圃新社, 1968, pp. 396-429には業績や周辺の化学者が詳しく述べられている。また,自伝の邦訳として,エミール・フィッシャー『一化學者の想ひ出』桑田智訳,平凡社,1946がある。)

*会誌第36巻第3号(2009.9)から転載。写真と文提供:金城徳幸会員。