化学史研修講演会

毎年夏休み期間中に、数名の講師を招いて化学史研修講演会を開催しています。

(会合の名称を、2013年度に「化学史研修会」から「化学史研修講演会」へと変更しました。)

化学史研修会の趣旨

本学会は、2003年11月に<化学史と教育>シンポジウム「理科基礎をめぐって」を開催しましたが、多くの参加者の発言から、高校の教育現場では科学史を中心とした理科基礎の授業が暗中模索で行われていることが明らかになりました。そこで、そのような状況の改善をめざして、2004年7月に化学史研修会が企画されました。

その企画は、高校の理科教員が自信を持って授業で化学史上の事項を扱えるように、授業で直接に使えるものというよりは、まず教える側の教養を高めることを意図したものでした。そのため、会員や一般の方々の参加も歓迎しました。第1回の講師は、いずれも理科基礎教科書の化学分野の執筆者であると共に、大学で科学史や化学史の授業を担当していましたので、大学での講義の様子をつかんでもらうことも意図されていました。

第2回以降の講師は必ずしも理科基礎教科書の執筆者とは限りませんが、教える側の教養を高めるという趣旨のもとに多様な講師を招き、研修会が続けられています。

第21回化学史研修講演会(2024.8.17,一橋大学一橋講堂)

  • 齊藤 幸一(元開成学園教諭、日本化学会フェロー)「中等教育の現場から見た化学教育の変遷史」
  • 橋本 毅彦(東京大学名誉教授)「図像科学史へのアプローチ」

 

第20回化学史研修講演会(2023.8.19,オンライン開催)

  • 三輪 紫都香(理化学研究所)「飯盛里安・IM泉効計の化学遺産認定と財団理研史料に見る科学史」
  • 田中 陵二(相模中央化学研究所)「色材の歴史と化学」

 

第19回化学史研修講演会(2022.8.20,オンライン開催)

  • 中辻 慎一(兵庫県立大学名誉教授)「化学史跡:ドイツ化学会の化学史プログラムについて」
  • 渡部 智博(立教新座中学校・高等学校)「中等教育で学ぶ化学と化学史の切れない関係」

 

第18回化学史研修講演会(2021.8.21,オンライン開催)

  • 吉本秀之(東京外国語大学)「化学史における図像について」
  • 後藤達乎(日本化学会化学遺産委員、元ダイセル)「化学遺産に学ぶ -上野彦馬と長井長義-」

 

第17回化学史研修講演会(2020.8.22,オンライン開催)

  • 山口達明「我国の有機化学教科書の進歩」
  • 新井和孝(日本化学会化学遺産委員会委員,元日産化学)「化学遺産認定制度 —日本の化学史を探る—」

 

第16回化学史研修講演会(2019.8.24,東京外国語大学本郷サテライト)

  • 小澤健志((株)NAAリテイリング)「明治初期におけるお雇いドイツ人化学教師」
  • 隠岐さや香(名古屋大学)「科学史から考えるジェンダー平等と科学教育」

 

第15回化学史研修講演会(2018.8.18,東京外国語大学本郷サテライト)

  • 齊藤正巳(元・東レ(株))「歴史観の多様性について -切手を通して見た人工元素から原子力エネルギーの世界-」
  • 古川 安(前・化学史学会会長)「京都学派の学風と伝統 -喜多源逸から福井謙一まで- 」

 

第14回化学史研修講演会(2017.8.19,日本化学会 化学会館)

  • 蟻川芳子(元日本女子大学)「道なき道を ― 女性化学者のパイオニア丹下ウメ ―」
  • 松本邦男(元神奈川工科大学)「日本の医薬品開発史 ― ペニシリンの温故知新 ― 」

 

第13回化学史研修講演会(2016.8.20,日本化学会化学会館)

  • 黒田光太郎(九州産業大学 基礎教育センター)「黒田チカの生涯 ― 女性化学者の先駆けの軌跡 ―」
  • 川合智(川合化学技術研究事務所)「プロセス技術開発と技術者倫理 ― 企業の論理と技術者倫理の相剋 ―」

 

第12回化学史研修講演会(2015.8.22,キャンパスイノベーションセンター東京)

  • 後藤幸平(元JSR(株)) 「天然ゴムから合成ゴムへ、さらに高機能化へ − 珍奇な物質から生活に不可欠な弾性材料への発展 − 」
  • 若林文高(国立科学博物館)「科博所蔵化学者資料から眺めた日本の近代化学事始め」

 

第11回化学史研修講演会(2014.8.23,キャンパスイノベーションセンター東京)

  • 佐川眞人(インターメタリックス(株)最高技術顧問) 「永久磁石の歴史とネオジム磁石の発明」
  • 菊池好行(国立大学法人総合研究大学院大学特任准教授)「幕末のロンドンにおける薩長留学生と化学の邂逅」

 

第10回化学史研修講演会(2013.8.17,キャンパスイノベーションセンター東京)

  • 岡畑 恵雄(山形大学教授)   「水晶発振子の歴史とバイオセンサへの応用」
  • 田島 慶三(日本化学会フェロー)「日本の板ガラス技術の歴史」

 

第9回化学史研修会(2012.8.25,東京工業大学)

  • 川島慶子(名古屋工業大学大学院)「マリー・キュリーと放射能―ジェンダーと科学をめぐる問題」
  • 山崎正勝(東京工業大学名誉教授)「日本の原子力問題と米国からの軽水炉導入:1945-1968」

 

第8回化学史研修会(2011.8.20,キャンパスイノベーションセンター東京)

  • 西條敏美(元県立徳島中央高校)「理系の扉を開いた日本の女性たち」
  • 岡本拓司(東京大学大学院): 「戦前期日本のノーベル賞候補:化学賞、生理学・医学賞を中心に」
  • 吉田 晃(明治大学):    「ラヴォワジエと質量保存の原理」

 

第7回化学史研修会(2010.8.20,理化学研究所)

  • 金城徳幸(東京工業大学)「科学者の写真を用いた理科教育に関する一考察」
  • 北田薫(北海道大学)  「組換えDNA技術の歴史を活かした科学技術社会論の教育」
  • 田中浩朗(東京電機大学)「戦争と化学」

 

第6回化学史研修会(2009.8.22,立教大学)

  • 原 宏(東京農工大学)「酸性雨と大気汚染の研究の歴史」
  • 山本明夫(早稲田大学)「化学史、化学技術史とともに考える ー 教育研究と科学技術力 ー」
  • 河野俊哉(暁星中高) 「化学教育と化学史 ー 新たなる段階に向けて ー」

 

第5回化学史研修会(2008.8.23,暁星学園中学・高等学校)

  • 徳元琴代(中央大学)  「ペニシリンの開発と化学史」
  • 中辻慎一(兵庫県立大学)「有機色素化学の歴史と最近のトピックスから」
  • 山口達明(千葉工業大学)「高校化学の限界」

 

第4回化学史研修会(2007.8.18,東京工業大学)

  • 八耳俊文(青山学院女子短期大学) 「岡田家武と日本の地球化学」
  • 日吉芳朗(石川県立輪島高校元教諭)「プルシアンブルーの化学」
  • 亀山哲也(産業技術総合研究所)  「環境と化学技術」

 

第3回化学史研修会(2006.8.19,東京工業大学)

  • 芝哲夫(大阪大学名誉教授)「日本の化学を始めた人々」
  • 江崎正直(三井化学元常務)「アンモニア合成技術」
  • 吉本秀之(東京外国語大学)「ロバート・ボイルの化学」

 

第2回化学史研修会(2005.8.20,東京大学先端科学技術研究センター)

  • 吉原賢二(東北大学名誉教授)「小川正孝とニッポニウム」
  • 内田正夫(和光大学)    「環境と化学の半世紀」
  • 島原健三(成蹊大学名誉教授)「教材としての化学元素発見史」

 

第1回化学史研修会(2004.7.24,東京大学先端科学技術研究センター)

  • 大野誠(愛知県立大学)「錬金術の基礎理解」
  • 梶雅範(東京工業大学)「メンデレーエフの周期律発見」
  • 古川安(日本大学)  「高分子化学の歩み:巨大分子説からナイロンの発明へ」

 

[参考]

  • 化学史研究別冊第1号『<化学史と教育>シンポジウム 理科基礎をめぐって』(2003.11)
  • 会告「化学史研修会のご案内」会誌第31巻第2号(2004)
  • 渡部智博「第2回化学史研修会報告」会誌第32巻(2005): 200
  • 渡部智博「第3回化学史研修会報告」会誌第34巻(2007): 45-46
  • 渡部智博「第4回化学史研修会報告」会誌第35巻(2008): 34
  • 渡部智博「第5回化学史研修会報告」会誌第35巻(2008): 186
  • 園部利彦「第6回化学史研修会報告」会誌第37巻(2010): 72
  • 河野俊哉・渡部智博「第7回化学史研修会報告」会誌第38巻(2011): 158-160
  • 渡部智博・河野俊哉「2011年化学史研修会報告」会誌第39巻(2012): 203-205