日本学術会議記者会見(2020/11/12) 報告

化学史学会が協力学術研究団体となっている日本学術会議より,2020年11月12日に開催された記者会見の報告が届きましたので,会員のみなさまにお知らせします(2020.11.13,事務局)。

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日本学術会議の活動と運営に関する記者会見のご報告

                               2020年11月13日
                                  日本学術会議幹事会

 2020年11月12日、日本学術会議の活動と運営に関する記者会見を行いました。記者会見
冒頭の梶田隆章会長の挨拶にありますように、あらためて学術会議としてさらなる情報発信するた
めに行ったものです。
 記者会見で配布いたしました資料は、日本学術会議のホームページに掲載しております。

 *第25期幹事会記者会見資料(11月12日)
 http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf25/siryo302-2-kaikenshiryo.pdf

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 記者会見冒頭の梶田隆章会長の挨拶

 10月29日に開催した前回の記者会見で、学術会議会員の任命問題に端を発して学術会議に関する
様々な議論がなされるなかにあって、学術会議として正確な情報を発信しておくことの重要性を強
く感じ、いろいろな情報を提供させていただきました。その後、先週は国会でも学術会議のことが
議論されてきましたが、これらの議論をお聞きして、あらためて学術会議としてさらなる情報発信
が必要だと感じました。そこで本日の記者会見では追加の情報を発信させていただきます。なお、
会員任命問題については、学術会議としての考えは変わりがありませんので、本日は、新たにお話
しする内容はありません。これまでお願いしてきた2点の要望について引き続き求めてまいります。
 さて、日本学術会議は、「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること」を独立して行
うとされており、我々も社会や国から学術会議に寄せられている期待を果たすべく努力しておりま
す。本日は、そもそもの学術会議の役割が何なのかということについて、国民の皆様にもう一度知
っていただくべきだと考え、資料を用意してまいりました。
 また、今申し上げましたように、「科学に関する重要事項を審議して実現を図ること」は学術会
議の重要な役割です。これらは提言などの形で国や社会に発信されますが、これらの活動を行って
も、いわゆる研究者としての研究業績として評価されない場合がほとんどです。このため、特に若
い研究者に学術会議に参加して活動をお願いすることが本当に望ましいことなのかはきちんと考え
る必要があります。実際、私も40歳くらいまではほぼ全ての時間を使って研究に没頭し、その甲斐
があってニュートリノ振動を発見することができました。40代でも基本的には自分のニュートリノ
研究が中心でした。これは1例ですが、多くの方に共通すると思います。そして、学術会議法では、
会員となるためには「優れた研究又は業績がある科学者」であることが要請されていますので、会
員の年齢構成は自由に決められるわけではありません。このような点をご理解のうえで、現在の学
術会議の年齢構成をご覧いただきたいと思います。
 次に、本日は口頭での報告のみとなりますが、国際学術会議(ISC)会長のDaya Reddy博士から、
日本学術会議が国際学術会議に参加することで、科学技術のさらなる発展の機会を創出しているこ
とを高く評価していることとともに、今回の会員の任命をめぐる現状を懸念している旨の手紙が届
いております。今回の任命をめぐる事態が世界のアカデミーの懸念事項になっているということを
御承知いただければと思います。
 最後に、任命問題とは独立に日本学術会議としての役割をよりしっかり果たすための検討の方向
性について、現状で私たちが考えていることをお伝えしたいと思います。

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事務局補足:記者会見の録画をYoutube(THE PAGEほか)で見ることができます。